「バドライト」は正真正銘ビール界の巨大ブランドであり、実際、米国最大のビールブランドとも言えます。
米国には安価なビールを展開する巨大な企業グループがいくつもありますが、「バドライト」は中でも最も人気があり、国内のビールランキングでは長年にわたって「クアーズライト」や「バドワイザー」、「ミラーライト」などを上回ってきました。
そんな業界をリードする「バドライト」ですので、ビールの栄養成分・原材料表示をポジティブなものとみなす新たな方針を掲げることも、なんら不思議なことではないでしょう。このビールの12本ボックスに新たに加わる栄養成分ラベルは、見落としようがありません。白地に黒の太字でプリントされ、サイズも巨大なのです。
これは他の食品カテゴリーでお馴染みの栄養成分ラベルと同様のものですが、これまでなぜビールにはついていなかったのか、疑問に思う人もいることでしょう。その理由の1つは、単に必要がなかったためです。
米国のアルコール飲料を規制しているのは、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)ですが、同局はこれまで栄養成分表示を義務付づけてこなかったのです。そして、より重要なもう1つの理由は、ビールの消費者の傾向です。というのも、彼らは単にビールが飲めれば満足で、1日の栄養摂取にビールが与える影響など気にしてこなかったのです。しかし、このような消費者の傾向は瞬く間に変化しつつあります。

Drew Angerer//Getty Images
栄養成分情報を表示したビールは、「バドライト」が初めてではありません。
「クアーズライト」や「ハイネケン」などのブランドも、すでに栄養成分を表示しています。が、これらの表示はしばしば小さなもので、わかりにくい場所にプリントされていることもあります。とは言っても、原材料までプリントしたのは「バドライト」が初めてとなります。わずか4種類の原材料ですが、これはポジティブな要素と言えるでしょう。
というのも、われわれは巨大企業が販売する食品について、基本的に「人工化学物質や異性化糖を混ぜ合わせて作ったもの」というイメージを抱いていますから…。「バドライト」は水、大麦、米、ホップのみを使用した純粋なビールなのです。そしてこのビールには、流行の豊かな風味こそないかもしれませんが、1缶あたりのカロリーもわずか110kcalと低カロリーである…とこの表示で皆さんは再認識できるわけです。
これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
「当社のお客さまの多くは、このビールを飲むことに誇りを感じると思います。われわれもこのビールの原材料には、本当に自信を持っています。ですから、当社としては原材料について、積極的に透明性を確保していきます。当社が使っているのは4種類の原材料だけですから…」と、「バドライト」のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるアンディ・ゴーラー氏は語っています。
「また、この栄養成分ラベルを見たとき、0%がずらっと並ぶところも気持ちのいいものです」と、ゴーラー氏は続けて話しました。
「バドライト」は、ソーシャルメディアや自社のウェブサイト上で大々的に押し出すなど、栄養成分ラベルを加えた新パッケージの宣伝に余念がありません。同社が真剣に取り組む必要があると思っているのは、業界全体に起こっているビール売上の低下にあるのです。あるデータによれば、「バドライト」も2017年の売上は前年比で6.2%減となっていたと言います。飲酒可能年齢になる若者世代はますますビールへの関心を失っており、スピリッツ類を好むようになっています。全体的なビールの売上が低下する一方で、着実に数を増やしているのはクラフトビールです。また、別のレポートによれば、「消費者の86%は、わかりやすい原材料情報を提供している食品メーカーを信頼する」というデータも明らかになっています。つまり、栄養成分や原材料をわかりやすくすることは、消費者の満足度向上につながるわけです。
当然ながら、ここには若者世代のビール消費者傾向が関係しています。
「とにかく若者世代です。あるいはミレニアル世代とも呼ばれますが、彼らはいま話したような透明性を第1に期待します。そして、この世代が第2に気を遣うのがその原材料です。なるべく良い原材料を使った、適切なものを摂りたいと思っているわけです」と、ゴーラー氏は語ります。
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原材料はパッケージにはっきりと! 2月からは新パッケージで発売です。
「バドライト」も、ビール業界全体に漂う不吉な兆候を感じ取ったというわけです。2016年、アンハイザー・ブッシュ(バドライトを保有する企業)やミラー・クアーズ、コンステレーション・ブランズなどの大手ビール製造会社は、2020年までにラベルに明確な栄養情報や賞味期限を表示すること、ラベルあるいは二次包装に原材料リストを表示することを約束していました。
このような変化への順応なしでは、クラフトビールや蒸留酒にますます多くの消費者が流出してしまうことでしょう。
新パッケージのバドライトは、2019年2月に米国で発売予定です。
このビールの昔ながらのファンなら、ミレニアル世代の消費者やビールを飲みながら健康を気にする彼らの野暮さに文句の1つでも言いたくなるかもしれません。ですが、黒の太字でプリントされた110kcalの表示も悪くはないものです。「バドワイザー」が145kcalと表示し始めるのも時間の問題かもしれませんね…。
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From Esquire US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
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